小児鍼は生後20日くらいから4、5歳くらいまでの乳幼児向けの治療法です。
乳幼児の皮膚はとてもやわらかく刺激に対して敏感であるため、小児鍼では大人の鍼治療で使われる鍼とは全く形状が異なる鍼が用いられ、刺すことなく治療が行われるのがもっとも大きな特徴といえます。
例えば、先端が丸くなった鍼で肌を摩る方法や、弱いバネが仕込まれたローラー上の鍼を肌の上で転がして刺激を与えたりする方法です。いずれも皮膚に触れるか触れないかという軽い刺激となります。
治療時間もじっくり行われる大人の鍼治療とは異なり、5分から10分程度が限度とされています。
小児鍼治療は、虚弱体質やアレルギー体質、夜尿症など様々な症状に対して施されますが、もっとも多いとされているのがいわゆる疳の虫と呼ばれるものです。
疳の虫とは、身体的に特別な理由が見つからないのに疳癪を起こしたり、不機嫌だったり、酷い夜泣きが続いたり、酷いもになると痙攣を引き起こしたりする一種の精神興奮状態のことをさすもので、現代医学では小児神経症と呼ばれています。
この小児神経症の原因は、いまだ解明されていませんが、一説によると起きている間に五感が受けた刺激をうまく処理できないことが夜泣きや癇癪となって表に出てくるといいます。
こうした症状に対して昔から小児鍼は効果があるとして親しまれてきたのです。